原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの国際協力活動から仕事論、情報発信術まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

アフリカの紛争/戦争に関心ある人が絶対に忘れてはいけない2つのこと

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アフリカの紛争やそれに伴う難民の問題を僕がSNSやブログで書いて、一番悲しくなるリアクションは

 

「アフリカには多様な民族が暮らしているから仲良くできないのは仕方の無いことだ」

「アフリカは開発が遅れていてまだまだ"野蛮"な人が多く、彼らには国家を統治する能力がない」

 

 

といったものだ。彼らは、紛争の原因をアフリカの中だけに求めようとしているが、これは大きな間違いなのだ。現場で活動している人間として、このことをもっとたくさんの人に知って欲しい。そうでないと、紛争で傷ついている彼らに対して向ける顔が無い。だから、僕は何度だって声を上げる。

 

少なくともアフリカに蔓延る紛争に対して関心を持っている人、何か行動を起こしたい人、僕の活動に関心がある人は、その本質を見誤らないようにするためにも、絶対に忘れてはいけない2つのことがある。

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数百年にわたる欧米先進諸国とアフリカの間にある歴史的な背景や経緯

問題が生まれた背景には、必ず原因が存在する。

 

アフリカで紛争が勃発し、そして絶えることなく続いているのにも原因が存在するわけで、その一つ目として絶対に忘れてはいけないことは、数百年にわたる欧米先進諸国とアフリカの間にある歴史的な背景や経緯だ。

 

(言葉は悪いかもしれないが)欧米先進国型の援助機関には、「アフリカにはいつも問題が山積みだから、私たちがその問題を解決してあげよう」といった、言わば高慢な姿勢で活動している団体も中には存在する。しかし、そもそもそれらの問題が生まれることになる大きな原因を作り出したのは、彼ら欧米先進国(特にヨーロッパ諸国)なのだ。アフリカで紛争が続く原因を、まずは"縦"に捉えてみてほしい。

 

奴隷貿易の始まり-1500万人の強制拉致

15世紀末に初めてポルトガルがアフリカ大陸にやってきてから、400年間もの間「奴隷貿易」が続いた。これによって、推定1500万人以上もの人々が強制的に拉致され、現地では野生動物のように扱われたり、アメリカ大陸や西インド諸島では欧米人たちが築き上げたプランテーションでの強制労働をさせられたりした。そこには「人権」という概念など、全く存在しなかった。

 

この「奴隷貿易」によって、アフリカの発展が著しく遅れることになったのはもちろん、その後の対立、ひいては紛争に繋がっていく火種が巻き散らかされた。ヨーロッパ諸国は、自分たちにとっては都合の良い、「従順な」民族には武器を渡して奴隷狩りをさせた。ヨーロッパ人たちは、自分たちの手を汚すことなく、アフリカ人にアフリカ人を集めさせ、お互いに争わせることによって、「漁夫の利」の如く利益を確保したのだ

 

この「奴隷貿易」は、19世紀前半にヨーロッパ諸国が廃止を決定してから既に200年近くが経つため忘れられがちではあるが、その後の植民地時代、そして現代にまで続くアフリカ内部の「分断」を考える上で、非常に重要な歴史的出来事であることは言うまでもない。

 

植民地時代に加速した「分断」

19世紀中頃から進められた「アフリカ探検」によって、アフリカ大陸に眠る豊富な資源への注目が集まると、資本主義が勃興していたヨーロッパ諸国は、資源の供給地や新たな市場としてのアフリカに目を向ける。そして、1900年頃までには、エチオピアとリベリアを除いて、アフリカ全土は列強諸国によって分割されてしまった。

 

この植民地時代に広く導入されたのが、「分断統治」と呼ばれるものだ。例えばウガンダの宗主国であったイギリスでは、ウガンダの南部を優遇する一方、北部を冷遇することによって、北部に暮らす大多数のアチョリ人の不満が、イギリスのみならずウガンダ南部へとも向くように仕向けた。また、ウガンダの隣国ルワンダでは、少数派のツチ人を優遇し多数派のフツ人を虐げることによって、国民の約85%を占めるフツの不満がツチへと向くようにしたのだ。

 

植民地時代に導入された分断統治によって、独立後のウガンダでは、北部から誕生した反政府軍と南部を中心とする政府軍との間で紛争が勃発し、ルワンダでは多数派のフツによって少数派ツチ人80万人がたった100日間で殺害されるジェノサイド(集団抹殺)が起きている*。

*ルワンダ・ジェノサイド…最近の研究では、虐殺による死亡者はツチよりもフツの方が多かったという指摘も出ている。

"Never Again" Again. フツ、ツチの争い ルワンダ虐殺の「真実」に迫る

 

現在に至ってもアフリカで紛争が終わらない大きな原因として、まずは「縦」、つまり数百年にわたる欧米先進諸国とアフリカの間にある「歴史」的な背景や経緯に注目し、

 

●奴隷貿易

●植民地時代

 

の二つを取り上げた。

 

アフリカには平和を築くためのたくさんの知恵が存在し、「人類発祥の地」であるこの大陸では、ヨーロッパ人たちが侵入してくるまで人々は自然と調和し、平和に生活を送っていた。そのことは、ボロボロの服を着ていても笑顔で駆け回っている今日のアフリカの子ども達を見れば、想像することができるだろう。

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世界で最も貧しい国ブルンジの子ども

 

先進国と途上国との間にある経済・政治的な構造、仕組み

そしてもう一つ、アフリカで起こる紛争の原因を考える時に忘れてはいけないことがある。それは、アフリカで起きている紛争の多くは、先進国側の政治・経済の構造、仕組みの下で起きているということだ

 

例えば、南スーダンでは、独立前のスーダンの時代から石油権益を巡った争いが続いており、莫大な石油が眠っているとされる南部スーダン(現南スーダン)に目を付けて1970年代から介入していたアメリカは、2001年以降スーダン南・北の「和平」を積極的に支援し、最終的には南北の国境線や石油の利益配分なども未確定のまま、南スーダンの独立を後押しして、オバマ大統領(当時)はこれを承認した。

 

また、隣国のコンゴ民主共和国東部で起きている紛争も、先進国に暮らす私たちと無関係だと言えない。この紛争の大きな要因になっているのが、現代の生活に欠かせない存在となったスマートフォンを始めとする電子機器だ。これら電子機器には大量のレアメタル(希少金属)が使用されているが、例えば、電子回路のコンデンサに使われているタンタルという鉱石の推定埋蔵量の6割以上はコンゴに眠っていると考えられており、またコルタンの埋蔵量の6割から8割もコンゴに存在すると言われている。

 

最近になってようやく広く知られてきたが、このレアメタルはコンゴで暗躍する武装勢力の資金源となっており、紛争の規模を広げ、そして長引かせている大きな原因となっているのだ。

 

他にも、紛争による「被害者」として最悪なケースの一つである子ども兵も、先進国の経済・政治的な構造によって産み出されている。

 

歴史的に見ると、子ども兵という存在は決して古いものではない。古くは中世から、騎士になることを望む子どもが従士になり、上官の身の回りの世話や荷物運びといった雑務に従事していた。しかし近年、特に第二次世界大戦後は子どもが武器を持って、最前線の戦闘に従事することが急増した。その決定的な要因として、カラシニコフ(AK-47)をはじめとする小型武器の登場と流通があげられる。

 

小型武器を含むあらゆる武器の生産と流通が紛争という火に油を注ぎ続けているわけだが、通常兵器の9割近くはアメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアの5大国によって生産されている。そして、なぜ武器の生産が減らないのか。それは、武器の売買によって儲けている企業が世界中に存在し、そしてそれらの企業による出資が政治家のキャンペーンを支えていることもあるため、彼ら政治家たちも武器生産に対して下手に規制がかけられないというジレンマが存在するのだ。

 

色々書いたけど、とりあえずこの一冊を読んでほしい。

「アフリカの紛争に関心があります!」と言われたら、僕は必ず『ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』をオススメしている。

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アフリカで紛争が無くならない原因は決してアフリカの中だけにあるのではなく、歴史的背景や先進国の利害と深い関わりがあることを、小川真吾さんの現場での経験などを踏まえながら、丁寧な筆致で解き明かしていく。きっと、多くの人にとって「目から鱗」であると共に、読了後にはアフリカの紛争をどこか遠くの世界の出来事で終わらすことができず、自分自身に課せられた責任や使命に気づかされるだろう。

 

何よりも、ウガンダ北部がまだ内戦中だった頃から現場に入り、元子ども兵士社会復帰プロジェクトをゼロから立ち上げた彼の言葉は、ひとつ一つの重みが他とは全く違う。私もかれこれ4回は読んだが、読めば読むほど深い納得感/満足感が得られる驚異の一冊。

 

お願いだ。これはマジで手に取って欲しい。

 

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拙著『世界を無視しない大人になるために  僕がアフリカで見た「本当の」国際支援』もよろしくお願いします。

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