原貫太の国際協力ブログ

フリーランス国際協力師原貫太のブログです。国際協力やNPO・NGO、アフリカ、社会問題などのテーマを中心に解説しています。

ウガンダの難民政策は本当に優秀?みんなが知らない裏話を解説します

100万人以上の南スーダン難民を抱えるウガンダは、難民に対して世界で最も寛容な国の一つだ。就労や移動、永住の権利に加えて、各世帯に900㎡(30m×30m)の土地も与えられる。なぜウガンダ政府は難民に対してこれほど寛容な政策を掲げているのか。これには大きく二つの側面が存在する

 

なぜウガンダは難民に対して寛容なのか? 

表面上では、人道的な観点から難民に対する寛容な政策が掲げられている。ウガンダ北部がまだ内戦だった頃、当時のスーダン南部(現南スーダン)へと難民として避難した人々がいた。そのため、「お互い様」の精神から、今度は私たちが南スーダン難民を助ける番として、寛容な政策が掲げられている

 

一方で、南スーダン難民の存在はウガンダの国益を追求する上で都合が良い。農業、工業など難民をウガンダ経済へ取り込めば、その地域の経済成長が期待される。それ以上に、難民を多数抱えていれば世界中の援助機関が金を注ぎ込んでくれる。NGO職員「ウガンダ政府は難民の存在を有り難く思っている

 

特に「難民」「緊急支援」といったキーワードは分かりやすく、寄付を集めるのに有効だ。にも関わらず、紛争・災害時の緊急支援では各機関が一斉に集まって活動を開始することもあり、数年後には援助物資として届けられた車などのハードアイテムが、どこに行ったか分からなくなってしまうこともある

 

UNHCRのような援助機関は、火事が起こる度に火消しに向かう消防署のような存在だ。そのバックではアメリカのような大国が力を持つわけだが、そもそも紛争が勃発した原因には彼ら大国の政治・経済的利害が絡んでいる。まるで僕らが難民へ寄付・支援するのは、彼らの尻拭いをさせられているようだ

 

欧州全体よりも多くの難民を受け入れるウガンダ

ヨーロッパ全体が受け入れる数よりも多くの難民を受け入れているウガンダ。「世界で最も寛容な難民政策を掲げる国の一つ」として評価をされている。

 

 

ただ、上記したように、これには二つの側面が存在する。一方では人道的な観点から難民を積極的に受け入れているが、もう一方では国益追求、主には国の経済を発展させるために難民の受け入れが行われているのだ。

 

現場スタッフから聞いた話だが、ウガンダ政府はその難民政策として、「既存事業の場合は、難民支援を7割、ウガンダコミュニティ支援を3割で行うこと。

 

新規事業の場合は、難民支援を5割、ウガンダコミュニティへの支援を5割で行うこと」と各援助機関に要請している。

 

例えば、新たに流入してきた南スーダン難民300人に物資支援を行いたい時は、同時に300人のウガンダ人も支援しなくてはならないのだ。実際、現場ではそれほど厳格に監査されることは無いのだが、原則としてこのような形になっている。

 

ウガンダ政府は難民に”感謝”している?

ウガンダに滞在していた時、長年援助関係で働く人から、「ウガンダ政府は南スーダン難民の存在を有難く思っているんだ。」と聞いた。「援助という名の"お金"がたくさん入ってくるからね。良い車、良い機材、良い建物・・・」。

 

援助や国際協力の世界といっても、すべてが人道的に行われているものではない。その「援助」によって、誰が得をしているのか?を、僕らは批判的な視点から考えなければならないのだ。