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原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」

アジア・アフリカでの活動からニュース解説記事、ライフハックまで。原貫太が世界をまるごと解体します。

世界を無視しない3つの方法 無関心を許さぬアフリカ・コンゴ紛争/紛争鉱物


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先日、大幅に書き下ろした記事「4歳の少女をレイプ―女性にとって最悪の場所、アフリカ最大の紛争コンゴの性暴力」に大きな反響があった。「世界の縮図」とも言われるコンゴ、特に東部は様々な武装組織が跋扈しており、まさにカオス過ぎる無法地帯が広がっている。

 

4歳の女の子までレイプされているという話を聞けば、誰だって驚くし、悲しい気持ちになる。それが、人間としての普通のリアクションだ。

 

一方で、「言葉が出ない」「想像すらできない」といった反応も目立った。記事内でも言及したように、コンゴの人道危機は世界の無関心によって、さらに深刻になっている。

人は、なぜ世界を無視していられるのだろうか。なぜ無関心になってしまうのだろうか。

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photo by Julien Harneis

 

現状があまりに壮絶過ぎて想像できない

単純に、無関心になってしまう大きな理由は、現状があまりに壮絶過ぎるため、想像することが難しいからだ。コンゴのようなあらゆる武装組織が跋扈し、日々殺害、略奪が繰り返され、4歳の女の子までもレイプされる現状は、日本という「平和」過ぎる国に暮らしている限り、想像することは当然難しい。だから、テレビの中の出来事で終わってしまい、結果的には無関心になってしまう。

 

情報が日本まで入って来ないから

これも、「無関心」になってしまう大きな原因だろう。シリア、イラク、アフガニスタン、パレスチナ、ウクライナなどの紛争がテレビや新聞を通じて私たちに届けられる一方で、コンゴ民主共和国の紛争をメディアが取り上げることはほとんどない。取り上げたとしても、数字(視聴率)に繋がらないからだ。言い方は悪いかもしれないが、殺されているのはアフリカの黒人ばかり。ルワンダ虐殺の時と同じことが、今はコンゴで起きていると言えるかもしれない(関連記事→"Never Again" Again. 一夜で4万5千人が虐殺された跡地から、先進国日本に暮らすあなたへ)。

 

南スーダンとは違って、日本の政治もほとんど関係していない。そもそも日本においては、この紛争の存在すら知らない人がほとんどだろう。もしかしたら、コンゴ民主共和国という国自体も、それほど知られていないかもしれない。

 

現場に足を運んでいる日本人が限りなく少ないから

私が今年2月にコンゴ民主共和国の隣国ウガンダに滞在していた時、現場で長らく活動している人から、「アフリカで危険すぎて入れない地域は二つ。一つがソマリア南部、そしてもう一つがコンゴ東部だよ」と聞いた。コンゴ東部は襲撃や誘拐が今なお繰り返されており、世界で最も危険な地域の一つだ。そのため、現場に入って活動している日本人は限りなく少なく、そのような人から直接話を聞くチャンスもほとんど無い。

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コンゴ北東部には「退避勧告」を意味するレベル4の表示(外務省HPより)

 

「無関心」を許さないコンゴ紛争のメカニズム

記事でも言及したように、コンゴ紛争と私たちの生活は、決して無縁ではない。

 

この世界最大とも言われる紛争の大きな要因を担うのが、現代の生活に欠かせない存在となったスマートフォンを始めとする電子機器だ。これらの電子機器には大量のレアメタル(希少金属)が使用されているが、例えば、電子回路のコンデンサに使われているタンタルという鉱石の推定埋蔵量の6割以上はコンゴに眠っていると考えられており、またコルタンの埋蔵量の6割から8割もコンゴに存在すると言われている。

 

最近になってようやく知られてきたが、このレアメタルはコンゴの武装勢力の資金源となっており、紛争の規模を広げ、そして長引かせている一因を担っている。近年では、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの情報電子機器が著しく発達していることにより、世界的に需要が急増しているレアメタル。毎年のように新型のスマートフォンが誕生し、多くの人がスマートフォンを買い替えているが、先進国でこのレアメタルの需要が高まれば高まるほど、武装勢力に多くの資金が流入し、そして紛争による犠牲者が増え続けるという世界的なメカニズムが存在するのだ。一説によれば、一月で約50万$(約6000万円)もの資金が武装勢力に流れ込んでいるとも言われている。

 

また、レアメタルを発掘するための鉱山では、深刻な児童労働も報告されている。武装勢力は子どもたちを誘拐し、崩落の危険性も高い狭い地下道の中で働かせている。多くの子どもたちが、武装勢力の兵士に銃を向けられて強制労働させられているとも言われるほどだ。まさに、先進国、いや私たちの「豊かな生活」は、コンゴに生きる人々の犠牲の上に成り立っていると言えるだろう。

 

関心を持ち続けるために

では、コンゴ紛争に関心を持つためには、いや持ち続けるために私たちはどうすれば良いのだろうか。

 

①情報を正しく知り、伝える

上述したように、コンゴ紛争に関する情報は、特に日本社会では極端に少ないのが現状だ。まずは消費者としての正しい行動ができるようになるため、紛争鉱物の問題について知り、そして正しい情報を家族や友人など周囲の人間に伝えてほしい。

 

紛争鉱物の問題を改善・解決するために日常から出来る具体的な行動としては、「スマホの買い替えを減らす」「リサイクルをする」などがあるが、問題の規模が大きすぎるため、一部の意識ある人たちが行動を起こすだけではもはや不十分だ。その意味でも、まずはこの記事について家族や友人に伝えて欲しい。「伝える」という行動プロセスは、その問題に対する主体者としての意識を、より強くするからだ。

 

紛争鉱物の問題を知るためには、以下の本も参照してほしい。

 

②現場で活動する人と接する

コンゴ東部で活動する日本人は限りなく少ないが、例えば私がインターンをしている認定NPO法人テラ・ルネッサンス理事長の小川真吾氏や、朝日新聞アフリカ特派員三浦英之氏は、それぞれ援助関係者・ジャーナリストという立場の違いはあるものの、現場に入って活動をしている。小川真吾氏に関してはぜひ著書『僕らのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?』を読むことを、三浦氏に関してはTwitterをフォローすることを薦める。

 

現場で活動する日本人と接する機会を持つことは、その人が言わば仲介的な役割を果たしてくれることで、一気に自分と現場との距離感を近づけてくれる

twitter.com

 

 

 

③周辺国へと足を運ぶ

物理的に距離が離れている海外の出来事に関心を持つための一番の方法は、現地に足を運び、その土地の人と友達になることが一番だろうが、さすがにコンゴ民主共和国(東部)への渡航をオススメすることはできない。

 

しかし、コンゴ関連のネタは周辺国ウガンダやルワンダにもたくさん落ちている。例えば、ウガンダ北部がまだ内戦時代だった頃、子どもたちの誘拐を繰り返していた「神の抵抗軍」も現在コンゴ民主共和国東部で活動していると言われており、またルワンダ大虐殺を主導した民兵組織も、虐殺後にコンゴへと逃げたこともあり、未だに同地域で分派(関連)組織が活動している。

 

現在ウガンダやルワンダは治安も安定し、観光地としても有名なため、現地に足を運びその歴史を肌で感じてみると良いかもしれない。格安航空券であれば、往復で10~13万円ほどだ。