原貫太オフィシャルブログ

アフリカでの国際協力活動から仕事論、情報発信術まで。※本ブログの内容は個人の見解によるものです。

原体験はたった一つ? 計画的偶発性理論から考える問題意識と価値観の変化

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photo by m.a.r.c.

 

大学在学中、私は幾つかの途上国へと足を運び、ストリートチルドレン、児童労働、スラム(貧困地区)、物乞い、都市部と農村部の格差、HIV/エイズ、紛争、虐殺、子ども兵など、様々な問題と向き合ってきた。もちろん、問題毎の向き合い方や向き合った時間(量)に差はあるものの、いずれにせよ様々な問題を知り、そして考えてきた。

 

「フィリピンの少女(ストリートチルドレン)との出会い~僕が「国際協力」に目を向けたきっかけ~」で書いたように、私が国際協力の世界に足を踏み入れたきっかけとなったのはストリートチルドレン問題であり、当時はそれに対して強い問題意識を持った。だからこそ、自分で学生団体を設立して、バングラデシュのストリートチルドレン問題と向き合ってきた。

www.kantahara.com

 

 

確かに、原体験と呼ぶべきものは存在する。私の場合、フィリピンで物乞いをするストリートチルドレンの少女と出会ったことが、原体験と呼べるものだろう。その時に感じたことや考えたことは今でも思い出すし、その経験があったからこそ、今日の自分があることは間違いない。

 

しかし、長い人生を考えた時、原体験とは一つに限定できるものではないと思うのだ。

 

原体験とは、「体験」に「原」、つまり「物事のはじめ」が付いた熟語。「人の生き方や考え方が固まる前の経験で、以後の生き方・考え方の形成に大きく影響を与える体験」のことを指す。

 

確かに、私のフィリピンでの経験は、"世界の不条理"に挑戦するという私の信念を誕生せしめ、その後の生き方や考え方に大きな影響を与え、そしてストリートチルドレン問題に対する問題意識を湧き上がらせたのは間違いない。

 

しかしながら、今振り返ってみると、国際協力の世界に足を踏み入れてからというものの、知識や経験を積んでいくに従って、児童労働や紛争など、その他にも様々な問題意識を抱き、今では子ども兵問題に強い問題意識を持ち、東アフリカのウガンダにて元子ども兵士社会復帰支援プロジェクトに携わっている。つまり、その世界に足を踏み入れてみなければ、絶対に分からないことがあるのだ。

 

 

計画的偶発性という言葉を知っているだろうか。スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱した理論で、「個人のキャリアの8割は予想しない出来事や偶然の出会いによって決定される」とし、「計画的に偶然を設計していく事で、自分のキャリア・アップを実行していく」という考えだ。

 

 

計画的偶発性の理論が提唱される前までは、「自分の関心、能力、適正、周囲の環境などを論理的に分析することによって、目指すべきビジョンやそこまでに至るステップアップの道筋が明確になる」と考えられていた。しかしクランボルツ教授は、変化の著しい今日においては、あらかじめキャリアを計画し、その計画されたキャリアに拘泥することは非現実的であり、するべきではないと指摘している。

 

中学生・高校生の頃に受けた職業適性診断の結果と、今自分が思い描いている将来像が違っていることも、往々にして存在するだろう。(もちろんその診断の正確性にもよるが)仮に診断結果通りの人生をきっちり歩んでいたら、日々生きる中での偶然や出会い、そしてそれによってもたらされるはずの可能性を、捨ててしまうことになる。

 

一方、キャリアプラン・リーダーシップガイドの藤田聰氏は、

 

その予期しない出来事をただ待つだけでなく、自ら創り出せるように積極的に行動したり、周囲の出来事に神経を研ぎ澄ませたりして、偶然を意図的・計画的にステップアップの機会へと変えていくべきだというのが同理論の中心となる考え方です。(引用:「計画的偶発性(プランドハップンスタンス)理論とは?」All About)

 

と述べており、クランボルツ教授は、「計画的偶発性」理論を実践するために、以下5つの行動指針を挙げている。

 

(1)「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
(2)「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
(3)「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
(4)「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
(5)「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと引用:「計画的偶発性(プランドハップンスタンス)理論とは?」All About)

 

この計画的偶発性はキャリア論の一つではあるのだが、問題意識の積み重ねや価値観の変化、また原体験が一つではないことにも、似たことが言えるだろう。5つの行動方針の一つ目、「好奇心」を例に考えてみる。

 

私自身の問題意識の積み重ねや価値観の変化を辿ってみれば、「好奇心」があったからこそ、フィリピンのストリートチルドレン問題が最初のきっかけであったにも関わらず、好奇心に従ってその問題を研究したことで、ストリートチルドレン問題のより厳しいバングラデシュに目が向いた。さらには、「児童労働」という別の視点に目が向き、研究を重ねることで最悪の形態の児童労働としての「子ども兵」に目が向き、今の活動がある。

 

原体験は一つではない、と言ったが、長い人生を考えた時、自分の生き方や考え方(ここでは「問題意識や価値観」と言い換えられる)が、生涯ずっと同じであることはありえない。むしろ、生き方や考え方の変化(問題意識の積み重ねや価値観の変化)は、人が生きる上で最も醍醐味のあることの一つだろう。

 

だからこそ、「原体験」、つまり人の生き方や考えが固まる前の経験で、以後の生き方・考え方の形成に大きく影響を与える体験」は、一つではないはずなのだ。「計画的偶発性」の視点から考えれば、その決して一つではない「原体験」ひとつ一つが、より良い人生を歩むために欠かせないものと言えよう。

 

しかし、計画的偶発性の視点から問題意識の積み重ね(や価値観の変化)を(言わば)前向きなものとして捉えていても、ただ問題意識を積み重ねていくだけでは、前に進まない(ここでは「問題意識の積み重ね」、言い換えれば「社会に腐るほど存在する問題との向き合い方」を考えるために、「価値観の変化」という言葉は置いておく)。

 

政治コメンテーターやジャーナリストなど、幅広い知見が問われる職種であれば話は別かもしれないが、「問題解決」をプライマリー・ミッションにする国際協力や社会貢献の世界ではアクションが求められるため、「問題意識の積み重ね」との向き合い方を考えなければならない。続きは以下の記事を読んで欲しい。

www.kantahara.com

 

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