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原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」

アジア・アフリカでの活動からニュース解説記事、ライフハックまで。原貫太が世界をまるごと解体します。

発展途上国でのフィールドワークにおける3つの「きく」-Hear, Listen, and Ask

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1年半の訓練を終えた8期生の元子ども兵たちが、これから本格的にビジネスを始めていくための道具の供与式が、昨日終了した。

www.kantahara.com

 

8期生の中には、テラ・ルネッサンスが活動しているウガンダ北部グル市内でビジネスを始める人もいれば、地元の村に戻ってビジネスを始める人もいる。今後、グル市内でビジネスを始める彼らのフォローアップや追跡調査を行うためのフィールドワークが増えていく。

 

今回は、バングラデシュやウガンダでのフィールドワークの経験を基に、発展途上国でのフィールドワークにおける「3つのきく」について考えたい。

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ウガンダにて帰還した元子ども兵の自宅を訪問した際の様子。前列左から2番目が筆者。(photo by Kanta Hara)

 

3つの「きく」-Hear, Listen, and Ask

心理支援の現場でもしばしば実践される3つの「きく」、つまり「聞く(Hear)」「聴く(Listen)」「訊く(Ask)」について、途上国でのフィールドワークという視点から考える。

まず、「聞く」「聴く」「訊く」の一般的な定義について。

 

聞く(Hear)
何かを意識することなく、受動的に聞くこと。相手の言葉を、聞き手は自分の都合に応じて聞く、場合によっては聞き流すこともある「きき方」。カフェで流れているBGM、そしてその音楽を特には知らない、もしくは興味がない時、私たちはそれを「聞く」。

 

聴く(Listen)
意識して、相手(対象者)を感じ取ろうとすること。「傾聴(=相手の話を受け止めながら聴くこと)」という漢字にも使われるように、相手の立場や気持ちに沿った上で、自分の質問や発言を抑えながら相手の話を「聴く」。

 

訊く(Ask)
相手に何かを尋ねる時に使う。必要や関心に応じて、自分の知りたい情報を相手からもらうために「訊く」。相手(対象者)の立場や気持ちに関わらず、一方的に質問を投げかける、調査実施者が本位となるきき方。


途上国でのフィールドワークを行う時に、この3つの「きく」をどのように使い分けるか、私の実践例を使いながら考えたい。

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バングラデシュでストリートチルドレンにインタビューをする筆者。(photo by バングラデシュ国際協力隊)

 

聞く(Hear)

(いきなりだが、フィールドワークという、そもそもが能動的な活動において「聞く」ことを考えるのは少し難しい)。調査対象者の話を受動的に(無意識的に)「聞く」こと、最初の簡単なコミュニケーションを取るために行うこととも考えられるが、途上国でのフィールドワークという視点から考える時は、調査対象者の周り(の環境)を含めて、幅広く相手の話を「聞く」ことと捉えたい。

 

ビジネスを始めようとする元子ども兵の調査で言えば、調査対象の元子ども兵が暮らしている周りの環境との関係性の上で(例えば調査対象者の家族や近隣住民の声なども含めて)彼らの話を聞くこと。例えば、先日元子ども兵であるセバスチャンさん(仮名)へのインタビュー中に、セバスチャンさんからミシンを借りているという近隣の女性がやってきて二人でしばし会話をしている様子を眺めていたが、それも「聞く」ことだ。この場合、あくまでメインの調査対象が元子ども兵であることを忘れない。

 

聴く(Listen)

調査対象、例えばストリートチルドレンや元子ども兵といった社会的脆弱層に位置する人々の話を受け止めながら、自分の質問や意見を出来る限り抑えた上で聴き、相手の様子や背景を感じ取ること。特に、辛い過去やトラウマを抱えているような人の場合、全てを語ってくれることは少ないかもしれないが、相手が話すことを受け止めつつ、「どんな過去を背負っているのか」「どんな状況に置かれているのか」「どんな問題を抱えているのか」など、その様子や背景を感じ取れるように聴く。

 

一方で、上述したような調査対象の場合、自分から話をしてくれるというケースは多くないため、必要に応じてこちら側から最低限の質問やテーマを提示し、相手が話せる・話しやすい状況を最初に作ることもある。私が調査対象者から話を「聴く」時は、録音はするが、紙やペンは持たず、相手の話をしっかりと聴ける姿勢で臨む。

 

訊く(Ask)

問題改善・解決に向けたプロジェクト立案や活動の遂行上必要になる情報・ニーズなどを聞き出すために「訊く」。事前に質問紙を用意しておくなど、調査前に訊く内容を整理しておく必要がある

 

例えば、ストリートチルドレンに対する調査の場合、「普段の路上生活で困っていることは何か」「警察との関係性はどうか」など、また元子ども兵に対する調査の場合、「帰還した村における周囲のコミュニティーとの関係性はどうか」「ビジネスの進み具合はどうか」など、こちら側から相手に質問を投げかけ、回答を貰い、それを記録する。

 

 

まとめ

途上国でのフィールドワークにおいて「きく」時は、対象者が置かれている環境・状況が厳しかったり、相手が様々な課題を抱えていたりすることがしばしばだ。

これまでの経験を振り返ると、以下のような流れを取ると、より質の高いフィールドワークになると思う。

 

①「聞く」(調査の準備段階/下調べ・状況把握)…調査対象者の周り(の環境)を含めて、幅広く相手の話を「聞く」。

②「聴く」(調査対象の把握/対象者との関係性構築)…相手の話を受け止めながら、自分の質問や意見を出来る限り抑えた上で「聴き」、その様子や背景を感じ取る。

③「訊く」(実施段階/必要な情報・ニーズ収集)…問題改善・解決に向けたプロジェクト立案や活動の遂行上必要になる情報・ニーズなどを聞き出すために「訊く」