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原貫太公式ブログ「世界まるごと解体新書」

アジア・アフリカでの活動からニュース解説記事、ライフハックまで。原貫太が世界をまるごと解体します。

母親の目の前で子どもの喉を切り裂く民兵 コンゴ紛争の悲惨な実態


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Congo refugees in Uganda(ウガンダのコンゴ難民たち)(photo by European Commission DG ECHO

 

私がインターン生として働く認定NPO法人テラ・ルネッサンスも活動を行っているコンゴ民主共和国(以下コンゴ)並びにウガンダ共和国関連で、気になったNewsweekの記事がある。

"People in Congo are living in fear of a Ugandan militia-and their own government"(コンゴの人々はウガンダの民兵、そして彼ら自身の政府に脅えながら生活している)

 

記事では、コンゴに暮らすカンベラ・カヘンド(Kambera Kahendo)さん(52歳)が紹介されている。

 

ある8月の午後、彼女が家でキャッサバの葉を使って料理をしていると、コンゴ北東部に位置する彼女の村に反政府軍がやってきた。彼女は急いで子ども達を家の中に集め、ドアにカギをかけた。

 

(中略)

 

ドアはちょうつがいから壊され、民兵たちが中へと押し入ってくる。彼女は恐怖で固まり、民兵たちが彼女の子どもたちの喉を、微笑みながら、歌いながら、マチェーテ(山刀)で一人ずつ切り裂き殺しているのを、ただ眺めていた

 

 

あまりの非人道さに、身の毛がよだつ。

 

コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo/以下コンゴ)はアフリカ大陸の中央に位置し、面積は日本の約6倍とアフリカでは2番目に広く、6,000万人の人々がこの国に暮らしている。コンゴの東部には今も手付かずになっている広大な熱帯雨林が広がっており、金や銅、スズ、コバルト、ダイヤモンド、タンタルなど、天然資源が豊富な国としても有名だ。

 

しかしこれらの豊かな資源は、植民地時代にヨーロッパ人が到来して以来、争いを引き起こす要因となり続けている。コンゴはしばしばその統治形態を変え、欧米諸国が資源を奪い取るためにコンゴの人々は都合良く利用され、数え切れないほど多くの人々の命が奪われた。

 

1998年以降は、紛争の激しさが増している。ジョゼフ・カビラ政権への不満を募らせた隣国に位置するルワンダは反政府勢力を組織、国内の豊富な天然資源に対する利権も絡み、ウガンダ、ブルンジと共にコンゴ侵攻を開始した。ルワンダ現大統領であるポール・カガメには、コンゴ国内での戦争犯罪の疑いもかけられている。一方で、コンゴ政府は周辺国(アンゴラ、ジンバブエ、スーダン、チャドなど)から軍事支援を獲得し、侵攻は引き止められ不安定な膠着状態が続いた。

 

その後、国連平和維持軍の派遣もあり、2002年には和平合意が成立したが、鉱物の採掘権を巡った争いや民族間のアイデンティティ対立など、他にも様々な要因が絡んでいるコンゴ紛争。和平合意が成立した後も武装勢力による襲撃や食料の略奪などが頻発しており、住民たちは脅威と苦しみに晒され続けている。

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コンゴ紛争でも多くの子ども達が戦場に立たされている(photo by 認定NPO法人テラ・ルネッサンス)

 

カンベラさんの暮らす地域一帯(コンゴ東部北キヴ州)では、2014年後半以降、主にウガンダの反政府組織「民主同盟軍」(Allied Democratic Force)による度重なる襲撃が起こっている。

 

民主同盟軍は、ウガンダ政府を打倒し、同国におけるシャリーア(イスラム法)国家樹立を目的として、1995年以降に活動を開始した。しかし、2000年代に入り、ウガンダ政府軍の掃討作戦によって同組織の幹部は多くが死亡しており、残る勢力はウガンダ隣国であるコンゴの北キヴ州へと逃亡。キヴ州やウガンダ国内において誘拐、またリクルート活動を行っている。現在の勢力は数百人程度だと指摘されている。

 

テラ・ルネッサンスが支援する元子ども兵の多くは、神の抵抗軍(Lord's Resistance Army)と呼ばれる反政府組織に誘拐され、戦場に立たされてきた。その神の抵抗軍も、ウガンダ軍の掃討作戦によって、現在ウガンダ国内での活動は確認されておらず、またウガンダでは「元子ども兵」のほとんどが社会復帰を果たしつつある。神の抵抗軍はかつて約6万6000人もの子どもを誘拐し兵士へ仕立ててきたと言われるが、「元子ども兵」の数も残り約1000人にまで減ってきたという報告もある。

 

一方で、未だに神の抵抗軍もコンゴ東部にて活動していると言われており、2009年12月には同国北東部のマコンボを襲撃し、少なくとも321人を殺害、子ども80名を含む250人を誘拐している。Newsweekで報告されているような民主同盟軍による襲撃も存在することを考えると、この地域が如何にカオスな状況であるかが分かる。

 

また、ウガンダの主たる宗教はキリスト教であり、神の抵抗軍も「キリスト教系過激派組織」に分類される一方で、(近年では「ジハード」の動きは確認されておらず、無宗教化してきたとも指摘されているが)誕生当初の目的を考えると、民主同盟軍はイスラム系過激派組織にしばしば分類される。コンゴ東部には、あらゆるタイプの反政府組織や過激派組織が乱立していることが分かる。

 

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